アレルギー関連

北海道のアレルギー

  • 2009年のアレルギー検査陽性率
    開花前のカモガヤ
  1. ダニ
  2. ハウスダスト
  3. シラカンバ(4~6月)
  4. イネ科植物(カモガヤ(右の写真)、ハルガヤなど)
  5. ネコのフケ
  6. イヌのフケ
  7. ハルガヤ
  8. ヨモギ

口腔アレルギー症候群について

  • 口腔アレルギー症候群とは
    野菜やフルーツなどの食べ物を食べると、15分以内に、唇の腫れ、舌やのどに痛み・かゆみ・不快感を感じ、時に、舌・のどの腫れを起こす病気です。
    基本的には、口の周りに、アレルギー症状が出るのですが、時に、その症状が、目や鼻に広がったり、重症の場合は、ショックなどのアナフィラキシーを起こします。アナフィラキシーとは、じんましん等の皮膚症状や、喘息・呼吸困難等の呼吸器症状、めまい、意識障害等の神経症状、血圧低下等のショック症状などを言います。
  • 口腔アレルギー症候群の原因
    原因としては、食材、特に果物や野菜が言われています。口腔アレルギー症候群は、食材と花粉に共通する物質がアレルギーを起こすので、花粉症との関連が言われています。特に、果物でアレルギーが出る場合は、ゴムの成分であるラテックスに対するアレルギーをよく合併します。以下に花粉と食べ物の関係を表にします。
花粉食べ物
シラカンババラ科の食物(リンゴ・梨・梅・アーモンド・ビワ・イチゴ・サクランボ・スモモ・杏)ブラジルナッツ・ピーナッツ・ココナッツ・セロリ・キウイ・オレンジ・香辛料(マスタード・パブリカ・コリアンダー・キャラウィイ・フェンネル・唐辛子・白胡麻)
ヨモギセロリ・人参・香辛料(コリアンダー・クミン・アニス)・ナス科の食物(ジャガ芋・トマト)・green bean・豆科の食物(ピーナッツ・green pea・レンチィル・エジプト豆)栗・マスタード・ヘーゼルナッツ・ヒマワリの種・ピスタチオナッツ・カモミール・レタス・蜂蜜(混入)・ビール(混入)
ブタクサり科の食物(スイカ・メロン・キュウリ・カンタローブ・ズッキーニ)バナナ
イネ科トマト・ジャガ芋・人参・セロリ・ニンニク・タマネギ・フダンソ・小麦・米・ピーナッツ・green pea・林檎・桃・ prunodeae paapin・オレンジ・キウイ・メロン・スイカ・ bromelain・卵・豚肉
バナナの花粉メロン
ニレ胡桃科の食物・ブナ科の食物(栗)・豆科の食物、ナス科の食物・アブラナ科の食物

その他関連があると言われているもの

医療関連食べ物
ラテックスマンゴ・栗・キュウイ

接触性じんましんを起こすと言われているもの

イカ・タコ・カボチャ・海老・蟹・ニンニク・キュウイ(マタタビ科)・マンゴー(ウルシ科)コショウボク;ピンクペッパー(ウルシ科)

ぜんそくについて

1)気管支喘息の疫学成人(20歳~44歳)での期間有症率が9.4%、喘息有病率が5.4%と報告されています。

小児から成人に至るまでの喘息患者数の経年的推移をみると、小児喘息は2~3歳までに60~70%が、6歳までに80%以上が発症するといわれています。

その後、思春期になると症状が軽快しつつ約30%が成人喘息に移行します。一方、症状が消失(寛解)した50~70%の小児喘息患者の内、30%弱が成人になって再発するといわれてます。一方、小児期に喘息がなく、成人になって初めて症状が出る成人発症喘息は、成人喘息全体の70~80%を占め、そのうち40~60歳代の発症が60%以上を占めます。

小児喘息の大半(70~90%)はダニを原因アレルゲンとするアトピー型ですが、成人喘息では非アトピー型が多くなります。

また重症度も、近年の喘息治療薬の進歩により以前よりは重症喘息は減少してきましたが、成人は小児に比べて慢性化、重症化しやすく、経口副腎皮質ステロイド薬に依存するような難治性喘息が5~10%存在します。

2)気管支喘息の経過
小児喘息では、思春期までにその60~80%がいわゆるアウトグロー(長期寛解、治癒)するといわれていますが、成人喘息では、3年以上、無治療・無症状の寛解状態になることも可能という報告もあります。しかしながら基本的には高血圧や糖尿病と同様の慢性疾患と認識して、症状がない場合でも予防のための治療が必要な場合が多く、薬物治療が不要になっても再発を予防するためにも年に1~2回の定期的な受診が必要と考えられています。

3)喘息死
1990年代前半までは、1年間に5,000人~6,000人で推移していたが、吸入ステロイド薬を中心とした予防治療が功を奏してきたため、1997年から減少傾向がみられ、2006年には、3,000人を下回り、2009年には、2,139人となりました。

小児から若年成人及び高齢者の男性においては、死亡原因として重要であり、特に60歳以上の高齢者においては年齢とともに急激な喘息死亡率の上昇がみられます。

②吸入β刺激薬と喘息死の問題
一時期、吸入β刺激薬(短時間作用性)の乱用と喘息死の関連、
特にフェノテロールとの関連がマスコミでも話題となりました。我が国においてもこの問題については研究班が組織され検討されました。その結果、吸入β刺激薬への過度依存による点滴等の治療の遅れが主たる原因と考えられていますが、過度依存の問題は患者さんへの教育の重要性をさらに示すものであり、的確な指示の徹底が重要であることは言うまでもありません。

発作初期での迅速かつ適切な吸入β刺激薬の使用の重要性は変わることはないこともまた医療者が患者さんに対して徹底することが重要であり、一方患者さんは発作の早期治療の重要性を認識することが重要です。

最近は、長時間作用性吸入β刺激薬(LABA)が長期管理薬として吸入ステロイド薬(ICS)との併用薬の第1選択薬としてガイドラインでも推奨されていますが、決してLABA単独で使用してはならず、あくまで吸入ステロイド薬を定時使用したうえでの併用薬であることを患者さん自身が理解することが重要です。

4)気管支喘息の定義・概念
気管支喘息は定義は以下のように定義されています。
①自然にあるいは治療により可逆性を示す種々の程度の気道の狭窄。
②気道の過敏性が亢進。
③Tリンパ球、マスト細胞、好酸球などの炎症細胞、気道上皮細胞、線維芽細胞をはじめとする気道構成細胞、及び種々の液性因子が関与する気道の慢性の炎症性疾患。
④持続する気道炎症は、気道傷害とそれに引き続く気道構造の変化(リモデリング)を惹起する。

5)気管支喘息の診断
典型的な喘息発作を繰り返す場合には診断は容易ですが、発症初期で咳程度の軽い症状を自覚する場合には、診断困難なことが少なくありません。診断の目安としては、

①喘息に基づく特徴的な症状
②可逆性の気流制限
③気道の過敏性亢進
④アトピー素因の存在(成人喘息では参考程度に)
⑤喀痰中の好酸球等の気道炎症の存在
⑥喘息に類似した症状を示す疾患の除外

などを参考にして総合的に判断します。

6)薬物療法
気管支喘息が気道の炎症性疾患であることが周知徹底されるようになり、喘息治療薬は予防薬としての“長期管理薬”と急性発作を治す“発作治療薬”に明確に分類されました。

現在、長期管理薬としての吸入ステロイド薬の意義、効果は広く知られるところとなっています。ガイドラインにおいては段階的治療法として吸入ステロイド薬使用を中心に据えた薬物療法が推奨されています。

(1)長期管理時の薬物療法
アレルギー性炎症を抑える効果のある薬剤を継続し、発作や気道過敏性、非可逆的気道閉塞を予防することが目的となります。日常生活に支障がないと、治療を自己判断で中断してしまう患者さんが多いため、自覚症状のみで判断しないようにしなければならなりません。

長期管理薬としては、

①副腎皮質ステロイド薬(吸入、経口)
②長時間作用性β2刺激薬(吸入・貼付・経口)
③吸入ステロイド薬/吸入長時間作用性β2刺激薬配合剤
④ロイコトリエン受容体拮抗薬
⑤テオフィリン徐放製剤
⑥抗体製剤(抗IgE抗体、抗IL-5抗体)
⑦ロイコトリエン受容体拮抗薬以外の抗アレルギー薬
⑧その他の薬剤療法(漢方薬、特異的免疫療法、非特異的免疫療法)等

以上がありますが、成人喘息においては、吸入ステロイド薬が第1選択薬と考えられています。

喘息治療のガイドラインでは、重症度に応じて長期管理時の薬物治療を成人喘息では4つの段階、すなわち治療ステップ(ステップ1~4)に分類して治療薬剤を決定することを原則としています。

症状が改善し3か月安定したら薬剤を段階的に減量(ステップダウン)し、また、長期的に症状が悪化したり現状の症状安定が望めない場合は、治療を段階的に増量(ステップアップ)します。

(2)抗体製剤
・抗IgE抗体(製品名;ゾレア)
オマリズマブ(ゾレア®)は2009年に登場した比較的新しい喘息治療薬です。IgEというアレルギー反応に関連したタンパク質に作用して効果を発揮します。2週間または4週間ごとに体重および血液中のIgE濃度に応じた量を皮下注射します。

・抗IL-5抗体(製品名;ヌーカラ)

メポリズマブ(ヌーカラ®)は2016年に登場した新しい喘息治療薬です。体内のインターロイキン-5(IL-5)という物質を制御して、アレルギーと関連した白血球である好酸球を抑制するなどして気管支炎症を抑えます。4週間ごとに100mgを皮下注射します。原則として血液中の好酸球数が一定値以上高い場合にしか使わない薬ですが、好酸球数や体重に依らず薬の使用量は一定となります。

抗体製剤はいずれも医療保険がききますが、それでもかない高額な薬剤です。吸入ステロイドを最大量使って、長時間作用型β2刺激薬なども併用したうえでなお治療がうまくいっていない場合などにその使用を考慮されます。