帯状疱疹は皮膚に発疹ができて、ピリピリと痛みをともなうものです。これは子どもの頃にかかった水ぼうそう(水痘)のウイルスが体の中の神経に宿っており、疲れがたまっていたり、ストレスにさらされて免疫力が低下したときに、そのウイルスが目を覚まして(活性化)発疹や神経痛を引き起こすというのがそのしくみです。明らかに水ぼうそうにかかったことがないと思っていても、いつのまにか知らないうちに感染しているケースが多いのでほとんどの方の体の中にはこのウイルスが存在します。
さて、症状である発疹は神経に沿って出るため、体の中心部分をまたがって両側に出ることはありません。これが帯状疱疹かどうかを見定めるポイントのひとつです。発疹が徐々に水ぶくれ(水泡)をつくり、その後かさぶた(痂疲)を形成して治癒に向かいます。この際、水ぶくれがつぶれてた場合、その内容液にはたくさんの帯状疱疹ウイルスが含まれているので、これに小さい子どもが触れると水ぼうそう(水痘)を発症しますので注意しましょう。
帯状疱疹は50歳を過ぎた方、あるいは糖尿病を患っていたり、抗がん剤で治療中の方やリウマチや膠原病で免疫抑制剤を使用している方に出やすいので早期発見、早期治療が必要です。治療開始が遅れると、帯状疱疹後神経痛という後遺症に悩まされる可能性があります。
平成28年に水痘弱毒生ワクチンが50歳以上の帯状疱疹の予防にも使用可能となりました(ご希望の方はご相談ください)。ただし、このワクチンは、毒性を弱めているとはいうものの、生ワクチンですので免疫抑制状態にある方は接種できません。もし接種してしまうと、水ぼうそう(水痘)を発症してしまいます。
一方、遺伝子組換えによる帯状疱疹ワクチン(シングリックス)は、50歳以上の人に2ヶ月の間をあけて2回筋肉注射をします。このワクチンはリウマチなどで免疫抑制治療を受けているかたや、抗がん剤治療を受けているかたでも接種することができます。