リウマチ関連

関節リウマチ

リウマチQ&A

人間ドックでリウマチの反応が陽性に出ましたが?

リウマチの専門医の間では、人間ドックや健診の項目にリウマチの検査(リウマチ因子)を入れることはナンセンスと考えています。と申しますのは、仮に症状がないのに陽性に出た場合、何もない人に比べて将来少しだけリウマチにかかりやすいということしかわからないからです。何か予防策があるのであれば意味もあろうかと思いますが、それがないのが現状です。

どういう症状のときに受診したらよいでしょうか?

関節の痛みはもとより、関節が腫れているかは重要な症状です。また、朝起きたときに手が開きづらい、握りづらいといった「こわばり」の有無も参考になります。関節の症状の持続期間も重要で、一過性に消えてしまうこともありますが、6週間以上続いているようなら受診された方がよいでしょう。

リウマチは遺伝しますか?

関節リウマチは遺伝病ではありません。しかしながら、現実に日ごろリウマチの患者さんをみていると、しばしば親や兄弟姉妹にリウマチの方がおられる場合に遭遇します。近い血縁の方にリウマチの方がいる場合は、そうでない場合に比べ多少リウマチの発症率が高いといわれています。

治療の戦略は最近どのように変わりましたか?

従来は、リウマチという病気は徐々に進行し、関節の破壊などは年数がたってから現れると考えられていました。ところがそれは間違いで、発症してから間もない間、特に2年以内に関節が破壊されることがわかってきました。

そのことから、早期に診断し、適切な治療薬を早期に投入し、関節の破壊をきたさないこと、さらに症状や機能障害を残さないようにすることが目標になっています。

それだけでなく、早期に適切な治療が施されれば、将来的に薬から離脱できるようにすることも視野に入ってきています。

生物学的製剤とはどのような薬ですか?

生物学的製剤とは、既存の内服治療により、リウマチの活動性を十分に抑えきれないときに使われる薬の一群です。2003年に最初の薬が登場して以来、現在では計7種類の薬が揃っています。特徴としては、効果は従来の薬に比べ格段に優れている反面、感染症などの副作用により注意が必要なことと、薬剤費が高いことが挙げられます。

生物学的製剤について詳しく見る

メトトレキサート服用上の注意点

リウマチ治療におけるアンカードラッグ(要の薬)といわれるメトトレキサート。商品名では先発品のリウマトレックス、そして後発品には以下のものがあります。メトレート錠、メトトレキサート錠、トレキサメットカプセル、メトトレキサートカプセルなど。この薬には服用上の注意点がいくつかあります。ときどき読み返して、常に正しい知識のもとに服用してください。

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生物学的製剤による治療を受け入れるかどうか迷っている方へ

いざ、生物学的製剤による治療を勧められたときに頭の中が混乱してどう考えたら良いのかわからなくなってしまう方が大方かと思います。
診察室では限られた時間の中で医師は説明しようとするため、十分に納得ゆくまでの説明ができない場合があります。

そんなときは診察室を出たあと、当院の看護師からわかりやすく説明してもらうと気持ちが少し整理される場合もあります。

パンフレット類を渡されることもあるかと思いますが、ここではどう考えたら良いのかを少し噛み砕いてご説明してみようと思います。

① 今なぜ生物学的製剤の使用を進められているのか?
今受けている内服薬による治療によって十分にリウマチの勢いが抑えられていないためより効果の強い生物学的製剤の使用をお勧めしているのです。

不十分な治療効果のまま時間が長く経過していくとしまいには関節が破壊され機能障害を起こしてしまいます。現在のリウマチの治療目的は骨に異常を来さないことが目標のひとつとされています。

今まだ骨に異常をきたしていない場合は今後も骨破壊を来さないように生物学的製剤を使用した方が良いというわけです。またすでにある程度骨破壊が進行してしまっている方においても、今後これ以上進行させないために使用することが推奨されています。

② 副作用が心配なのでどうしても踏み切ることができませんが?
副作用を心配しない人はこの世に存在しません。しかしながら薬と名のつくものはすべてにおいて副作用が存在します。

現に今服用されている内服薬にも副作用が存在しますが注意しながら飲んでくださっているわけです。生物学的製剤においても副作用には十分に注意を払いながら我々スタッフは診療に従事しています。少しでも質の高い診療を行うべく、日頃から学会や研究会に出席して最新の医療情報を学びながら安全にリウマチ診療を行えるよう努力をしています。

具体的に、副作用で最も注意が必要なのは感染症です。風邪を引きやすくなったり、風邪をこじらせて肺炎を併発しないように注意することが重要です。そのために日頃から肺炎の予防ワクチンの接種をお勧めしたり、インフルエンザの予防接種を含めた風邪の予防策、風邪を引いたときの注意点などを確認しながら診療しています。

これらの対策を講じながら慎重に投与することが、不十分な治療のまま将来の機能障害を来すことよりも望ましいとの判断を国が認めているわけです。

当初懸念されていた、発がん性が高まるのではないかとの疑問に関しては現段階では否定されています。

③ 一度始めたら一生続けなければならないのか?
今のところ、一度始めるとどの段階で中止可能といった決まった定義はありません。

現実には、半年程度全く症状がなく、血液検査にも異常が見られない場合、医師と患者さんの双方が同意の元に一度中止してみるということが行われています。

中止してみてどうなのかという臨床試験も行われていますが、概ね半数程度が中止1年以内に再燃しているという結果が多いようです。

中止後の再燃の場合には同じものを再投与する場合と、異なる薬剤に変える場合がありますが、これについては患者さんと十分に話し合って決めさせていただきます。

決して安くない治療ですので、一生続いてしまうと経済的に大変なので困難という方も非常に多いのも現実です。

これは正式な投与法ではありませんが、治療開始前にあらかじめ投与期間を半年とか1年と決めておき、効果が十分であっても不十分であっても予定の期間で終了するというものです。

以前、このやり方で短期間だけ生物学的製剤を使用し、寛解状態となり中止した後も寛解状態が長く持続している方もおられます。

10年前の生物学的製剤の発売当初ならいざ知らず、十分に普及し、使用経験も多く積み重ねられてきている現在では如何ともしがたい経済的理由のある方の場合は生物学的製剤使用のハードルをより低く設定し、ベストではないがベターな使用というものをあってよいのではないかというのが私の考え方です。

ただ、下にあります高額医療制度については十分に該当するかどうかをご検討ください。平成27年4月より所得額により今まで以上に細かく自己負担限度額が定められていますので、社会保険事務所や市役所等にお問い合わせください。

④ リウマチの患者さんのうち、どのくらいの割合の方が使用しているのか?
当院に通院中のリウマチ患者さんの場合には2割5分の方が生物学的製剤の投与を受けておられます。

日本全国リウマチの専門医療機関の発表を総合すると、多い施設で3割程度、少ない施設でも2割程度の患者さんが生物学的製剤の投与を受けておられるようです。当院は平均的な頻度ではないかと思います。

⑤ 点滴と皮下注射のどちらを選んだら良いのでしょうか?
患者さんによっては皮下注射は痛いという理由で点滴を希望される方がおられます。

また、点滴は時間がかかるので皮下注射を希望される方もおられます。さらに自分で注射(自己注射)する意欲のある方は皮下注射を選びます。

更に、点滴、皮下注射それぞれに投与間隔が異なっており、点滴では4週間隔のものと8週間隔のもの、皮下注射では1週間に2回のものから4週間に1回のものまでバラエティーに富んでいます。自己注射可能な製剤は週2回のもの、週1回のもの、2週に1回のものがあります。

高額な医療費を少しでも安くする方法

リウマチの治療は長期にわたりかなりの医療費がかかります。ある試算によると患者さん一人あたり、年間の医療費は42万円、保険以外の費用に8万円、通院に伴う交通費などの非医療費に29万円、さらには就労に関わる損失に152万円、総額年間229万円とされています。これは2005年の試算ですから、最近の生物学的製剤の登場を考慮するとさらに高騰していると考えられます。

高額療養費制度:毎月一定の限度額までの支払いで済む制度です。従来は一旦収めた額のうち、限度額を超えた部分があとから還付されていましたが、現在はあらかじめ申請することにより限度額までの支払いで済むようになりました。まずは、加入している保険組合にお問い合わせください。(kogakuryouyou.pdf

さて、その他高額な医療費を免れる手段には以下のものがあります。
1.身体障碍者手帳
2.生活保護
3.ひとり親家庭等医療費助成制度の利用
4.特定疾患(難病)の申請(悪性関節リウマチ、合併するシェーグレン症候群など)
5.法廷給付金(保険者)
6.付加給付金(組合などの保険者)
7.医療費控除(税務署)

1.の身体障碍者手帳の利用に関しては、小樽市の場合、身体障害の等級、所得、課税額などにより医療費の減免が受けられます。

6・7.給付金については各保険者によって自己負担限度額が異なりますので、調べてみてください。また、医療費は一世帯の合算により判定されますので注意が必要です。

さらに、経済的に困っている方には、以下の制度のご利用を検討してください。
1.就労中の方の場合の障害手当金(18ヶ月まで、ハローワークに相談)
2.障害年金(基礎/障害厚生年金、共済年金)→ 国民年金課、初回保険事務所
3.年金担保の貸付事業(10~250万円)→ 銀行、信用金庫
4.自立支援医療(更生医療)入院のみ → 福祉事務所、障害福祉課
5.税の軽減

参考資料
障害等級別早見表 ←左をクリックすると小樽市の障害等級別早見表が見られます